きょうのNY為替市場、序盤はユーロの戻り売りが強まった。この日はECB理事会があり、大方の予想通りに政策変更は無かった。ドラギ総裁の会見やECBのスタッフ見通しに注目が集まったが、成長とインフレの両方を上方修正してきた。ユーロも会見が始まった直後は買いが強まったものの、次第に戻り売りに押される展開となっている。
一部では今回はドラギ総裁が退任して以降の2020年のインフレ見通しを注目されていた。見通しは1.7%となり、ECBの目標である「2%を若干下回る水準」にはやや物足りない印象もあったようだ。
しかし、総裁は「2ヵ月前に比べ目標に到達できる公算高まった」とも述べており、ECBは依然としてインフレに対して慎重ではあるが、前回よりはポジティブになっている印象も受ける。ただ、年末接近のためか、短期筋の動きが中心の中、前日の急上昇もあって上値では戻り待ちの売りも多かっようだ。
一方、後半になるとドルが売りを強めている。最高値更新を続けていた米株が反落したことや、米国債利回りも前半の上げを失ったことがドル売りを誘発した模様。
ユーロドルはドラギ総裁の会見が始まった直後こそ1.1865ドル付近まで上昇したが、一気に1.17ドル台に下落している。ユーロドルには来年も期待している向きも少なくないようだが、きょうの下げで1.18ドル台前半に来ている21日線を再び下回っており、本格的なリバウンド相場にはまだ戻せていないようだ。
後半になると1.18ドルちょうど付近まで下げ渋ったものの、1.18ドル台は上値が重かった。明日は1.1800ドルのオプションの期日到来が大量に観測されているが、オプション絡み防戦売りが出ていたのかもしれない。
一方、ドル円は一時112円ちょうど付近まで下落。ドラギ総裁の会見と重なった影響もあるのが、この日発表になった11月の米小売売上高は予想を大きく上回り、感謝祭シーズンの消費が好調だったことを示した。ドル円も買いで反応したが、直ぐに上値を抑え込まれている。個人消費については既に強いことが認識されており、市場にとっては新鮮味がなかったのかもしれない。インフレの動向のみに市場の関心は集中しているようだ。
前日のFOMC後の下げでドル円は上値へのモメンタムを一旦無くしている模様。きょうの下げで21日線を割り込んでおり、明日以降の動きが警戒される。
ポンドドルは一時1.33ドル台に下落する場面も見られたが、午後に入ってドル売りが強まっており1.34ドル台は維持している。ただ、きょうの英中銀金融政策委員会(MPC)は慎重姿勢を維持している。一部にはEU離脱交渉の第1フェーズが合意したことで、MPCも何らかの反応を見せるとの観測もあったものの結局、何も変化が無かったことで、ポンドは軟調な動きも見られていた。
カナダドルが急上昇。ポロズ・カナダ中銀総裁のスピーチが伝わっており、概ね先日の声明を踏襲しているものの、「いずれ刺激策を縮小する必要があるとの信頼感が増している。経済はフル稼働の状況」などと述べ、カナダドルの買い戻しを誘っていたようだ。カナダ円は87円台半ばから88円台まで急上昇した。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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