【NY市場】米CPIが予想下回りドル円は一時200日線割れ ユーロが後半に失速

 きょうのNY為替市場、この日発表になった米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことでドル売りが強まった。CPIはコア指数で前年比1.7%と予想を下回り、5ヵ月連続で1.7%が続いている。市場は12月の米利上げ期待を若干下げたようだが、期待を大きく変化させたわけではない。12月利上げ期待は十分可能性がある。

 ただ、市場は来年以降の動向を探り始めているところもあり、その点では今回のCPIは失望感が強かったのかもしれない。市場では、今年に入ってのインフレ鈍化が一時的要因なのか構造的要因なのかといった疑問が高まっている。今回のCPIを見た限りでは、構造的要因との見方がなお優勢といったところのようだ。

 今週はドル売りが優勢となり、ドルインデックスは5週間ぶりの陰線を示現しそうだ。その流れの中で、きょうのCPIはドル売りの背中を押したといったところなのかもしれない。

 ドル円は111.70近辺まで下落。200日線をサポートに踏ん張っていたが、200日線を一時下回っている。ただ、その後発表になったミシガン大指数が予想を大きく上回り、2004年1月以来の100超えとなったことから下げ渋っている。200日線の水準は維持しているものの、きょうのCPIを経て112円台には慎重になっているようだ。

 一方、ユーロは米CPIを受けて買い戻しが優勢となっていたものの、後半になって次第に上値が重くなっている。特段のユーロ売りの材料は見当たらないものの、カタルーニャ情勢を懸念した動きが出ているのかもしれない。

 スペインのラホイ首相はプッチデモン州首相が独立宣言をしたのかどうか明確にするよう求めている。16日までにそれを明らかにするよう求めると同時に、仮に独立宣言をした場合、19日までに宣言を撤回しなければ憲法に基づいて自治権を停止するなどの強行措置に踏み切ると警告している。

 ユーロ円は132円台前半と本日安値圏に再び下落。21日線を下放れする展開が見られており、目先は132円台を維持できるか注目される。目先の下値サポートは10月5日の安値131.80付近が意識。

 ポンド円は148.70付近で上下動が続いた。米CPIを受けてドル売りが強まり、ポンドも上昇したものの、全体的には様子見気分が強い。カーニー英中銀総裁のTVインタビューが伝わっていたが、「数ヵ月以内に利上げが必要」とこれまで通り利上げに前向きな姿勢を示していたが、特にポンドの反応は限定的となっている。市場では利上げを既に織り込み済みで、関心はEU離脱交渉に集中しているようだ。

 前日はEU側のバルニエ首席交渉官が、英国が暫定的に2年間、EU単一市場へ残留する提案を行うと伝わり、ポンドは急速に買い戻されていたが、ドイツのメルケル首相の報道官が、移行期の取り決めを協議するのは時期尚早と発言したことから、ポンドは上値の重い展開が見られていた。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です