【NY市場】ISM指数受けドル買戻し 米企業のセンチメントは良好

 きょうのNY為替市場はドル買い戻しが優勢となった。この日発表になったISM非製造業指数が、週初の製造業と伴に強い内容となったことがドルをサポートした。ハリケーンの影響は限定的なようで逆に、復興需要が企業のセンチメントを高めているようだ。

 ただ、全体的には動意薄の展開で、次の材料待ちとなっている。次期FRB議長の人選に関しても市場の話題となっており、ウォーシュ元FRB理事やパウエルFRB理事などの名前があがっているが、まだ不透明な部分が多い。

 次の材料探しの中、週末には米雇用統計の発表を控えており、その結果を見極めたい雰囲気が強い。ハリケーンの影響で非農業部門雇用者数(NFP)の増加幅は大きく鈍化することが予想されているが、そうであってもネガティブなインパクトは限定的であろう。むしろ、今回はハリケーンの影響が小さいと思われる平均時給などを注目したいところではある。

 なお、午後にイエレンFRB議長の講演が行われていたが、経済や金融政策の見通しについての言及はなかった。

 ドル円はNY時間開始までは緩やかな売りが続き、112.30付近まで下落していた。ただ、下押す動きまではなく調整の範囲といった雰囲気で、112円台は維持されている。米景気の先行き期待や利上げ期待が下値をサポートしているようだ。

 ISM指数の発表をきっかけに買い戻しが膨らみ、再び113円台をうかがう展開も見せていたが、連日113円台に上値を抑えられていることもあり慎重になっているようだ。113円台に乗せることなく伸び悩んでいる。

 一方、ユーロ円は午後になって伸び悩んだものの、一時132.80近辺まで上昇。このところ、ユーロ自体は上げが一服しているが、ECBの出口戦略への期待がサポートし、売りを強める展開までには至っていない。あくまで調整の範囲であり、いずれ上向きの流れを復活すると見ている向きは多いようだ。

 そのECBの出口戦略だが、今月のECB理事会で打ち出されるとの見方が有力。ただ、市場の注目は既に、時期とペース縮小の量といった具体的な詳細に移っている。明日はECB議事録が発表されるが、その辺に関して何らかのヒントが出るか注目される。

 ポンドは軟調。ISM指数が強い内容となったことでドル円と伴にポンド円も買い戻しが優勢となった。ただ、150円台に迫る動きも見せたものの届かずに伸び悩んでいる。

 EU離脱交渉を巡って英与党内での対立も表面化してきており、政治的不安がポンドを圧迫する中、ポンド円も調整の動きが続いている。目先の下値サポートとしては、本日148.60付近に来ていた21日線が意識される。

 きょうは英サービス業PMIが発表になっていた。予想を上回る内容で為替市場もポンド買いで反応していたが、一時的な動きに留まっている。予想こそ上回ったものの、サービス業のセンチメントは鈍化傾向に変わりはない。一部の企業からは、英EU離脱交渉への不透明感から、投資を控えていることがサービス業にも影響が出ているとの声も出ているようだ。

 11月の利上げ期待は温存されているものの、足元の高インフレと実体経済の鈍化傾向の間で英中銀も悩ましいところではある。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です