きょうの為替市場はドル買いが優勢となったものの、NY時間に入ってその動きが一服している。期末を控ええていることや、本日のトランプ大統領の税制改革案の発表を控えて調整も出ているようだ。
前日のイエレンFRB議長の講演が予想以上にタカ派だったことで市場は、12月利上げ期待を再び高めており更に、税制改革への期待もドル高に繋がっていたようだ。CMEのFEDウォッチでは、12月の利上げ確率を80%超まで上昇させているが、市場では年内利上げに関してはまだ、不透明感が強いようだ。この先のインフレ指標次第では一気に可能性が後退する可能性がある。
しかし、先週のFOMCから前日のイエレン議長の講演までの流れを見ているとFRBは、インフレが多少低く推移していても他の指標が堅調ならば、利上げをしたい意向を持っていることは明らかなようにも思われる。あくまで現状は正常化の範囲でもあり、インフレ鈍化は特殊要因で、成長と切り離したがっているようにも思われる。
また、税制改革案について事前の報道では、焦点の法人税減税でトランプ大統領は、15%への引き下げを主張しているが、現実的な路線で20%というのが落とし所との見方も出ている。そのぼか、米企業の約95%を占める個人事業主やパートナーシップの出資者に課税するパススルー課税を25%程度に引き下げる案や、企業が海外に保有する資産を国内に還流する場合の一時的な優遇課税なども盛り込まれる見通し。
所得税に関しては、最低税率を引き上げる一方で、最高税率の引き下げが検討されている。ただし、低所得者層の増税を回避するために所得控除の拡大もセットで打ち出されるようだ。
ただ市場では、財源の問題や法案成立に懐疑的な見方もあり現段階ではまだ、慎重に見ているといったところ。
ドル円は朝方、7月14日以来の113円台に上昇。この日発表の米耐久財受注が予想を上回ったこともフォローした。しかし、上昇して始まった米株の上値が重く、ダウ平均が一時下げに転じる中、ドル円も戻り売りが強まっている。円高の動きも見られ、ユーロ円やポンド円といったクロス円にも売りが強まる場面が見られた。
上値には本邦勢の売りも厚く観測されていたようだが、期末接近もあり、113円台での上値が重かったことから、一旦見切売りが強まったものと思われる。ポイントとして意識される112.50水準を割り込む場面も見られたが、米国債利回りも上昇が続いており、終盤には112円台後半まで戻す展開となっている。
一方、ユーロドルは1.17台前半まで下落する場面も見られたが、1.1770付近まで一時戻す展開。
カナダドルが急速に下落。カナダ中銀のポロズ総裁の講演が伝わっており、「経済は力強いが、賃金の伸びは予想よりも鈍い。金利に予め決まった道筋はない」などと述べたことが売りに繋がっている。早ければ年内にも追加利上げ期待が市場には高まっている中、総裁の発言はやや冷や水になった模様。カナダ円は91円台前半から90円台半ばに下落。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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