きょうのNY為替市場もドル売りが強まった。ドル円はリスク回避的な円買いも加わって、一時109円台前半まで急落。米国債利回りが一向に下げ止まらない中、ドル円は見切売りが加速し、東京時間に110円を割り込んだが、海外時間に入ってもその流れが続いた格好。ロンドン時間には中国が米国債を買い増す用意があるとの報道も手伝って、一気に109円台前半まで急落している。売りが売りを呼ぶ展開。
NY時間に入って発表になった4月の米求人件数は過去最高を記録し、労働市場のひっ迫感を示す内容だったものの買戻しの反応は限定的で、200日線をブレイクし下げを加速させている状況。
ファンダメンタズ的には値ごろ感も出ていると思われるが、米国債利回りが下げ止まらない中で、なかなか手を出しづらい状況。木曜日には英総選挙やECB理事会、そして、コミー前FBI長官の議会証言も予定されており、リスクを意識した動きも見られている。
目先の下値メドとしては、4月21日の金曜日につけた108円台後半が意識される。仏大統領選・第1回投票のときで翌週のドル円は選挙結果を受けて窓を開けて始まっており、北朝鮮問題も緊張がピークに達していた時期。その窓埋めの可能性が高まっている。
終盤になって、今週に議会証言が予定されているコミー氏の報道が伝わっており議会証言では、「大統領が司法妨害をしたかどうかまでは証言しない。大統領との会話の詳細を証言する予定」と伝わっていた。ドル円も買い戻しの反応を見せたが、直ぐに押し戻されている。
一方、ユーロは堅調な動きを続け、ユーロドルは1.12ドル台後半の水準を維持。ただ、1.13ドル台には慎重な様子もうがかえる。木曜日のECB理事会がユーロにとっては最注目であろう。このところの経済指標の好転で、ECBがガイダンスを出口戦略に向けて変更してくる可能性を市場は見込んでいる。ただ、市場は既に変更自体は織り込んでおり、内容を見極めたい段階にあるものと思われる。
市場にはガイダンスは変更するものの、期待ほど大幅な変更はなく、ドラギ総裁は慎重姿勢を強調するとの見方も出ているようだ。その場合、一旦ユーロは材料出尽くし感から利益確定売りも想定されるという。
なお、ユーロ円は円高の動きから戻り売りを強め、一時122円台まで下落する場面も見られた。きょうの下げで10日線と21日線はデットクロスを示現しそうだ。
ポンドが軟調。対円での下げは特にきつく、ポンド円は140円台まで一時200ポイント近くの急落となった。今週木曜日の英総選挙への警戒感が高まっている。ユーガブの世論調査では、メイ首相率いる保守党の議席数予想は305議席で第1党は確保するものの、単独過半数(326議席)は難しい情勢となっている。その場合、メイ首相への圧力や連立政権を組むということになり、波乱の展開も警戒されている模様。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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