きょうのNY為替市場、ドル円は上げが一服し109円台に値を落としている。日曜日の仏大統領選で中道派のマクロン氏がトップで最終決戦に進んだことから、市場に安心感が広がっている。ドル円も一気に心理的節目の110円台を回復していたが、NY時間に入って戻り売りが強まった。
ドル円が伸び悩んだ要因は米国債利回りが上げ幅を縮小したこと。特に5年、10年といったタームに実需買いが観測され利回りを押し下げていたようだ。原油が再び50ドルを割り込んだことや、今週末に米政府機関が閉鎖されることへの懸念も出ていた模様。また、水曜日にトランプ政権から税制改革案が発表されるが、米行政管理予算局(OMB)のマルバニー局長が、完全な形の提案は恐らく6月以降になると発言したことで、今回は具体的な内容はないのではとの見方も出ている。これらが北朝鮮問題と伴に重しとなっていたようだ。
ドル円は109.65近辺まで値を落としたが、週初のチャートで開いた窓を埋めに行く動きまではなかった。
一方、ユーロも伸び悩んだものの堅調な動きを続けている。対ドルのみならず、対円、ポンドでも上昇。ユーロ円は119円台を維持している。仏大統領選で中道派のマクロン氏がトップ、2位がルペン氏となり、両者が2回目の最終投票に進んだ。世論調査では両者が最終投票に進んだ場合、概ね60対40でマクロン氏が勝利すると見られている。まだ、最終投票日の5月7日まで2週間あることから、結果はわからないが、市場の懸念がかなり緩んでいることは確かなようだ。
市場ではもし、マクロン氏が勝利すれば、ECBの早期の出口戦略が現実味を帯び始めるとの指摘も聞かれている。ただ、インフレが上昇してきているとは言え、エネルギー価格上昇によるところが大きく、食品・エネルギーを除いたコア指数は1%を下回っている状態。また、政治リスクではドイツの総選挙が秋に予定されている。今週はECB理事会が予定されているが、ECBが緩和継続姿勢を緩めることはないものと思われる。
ポンドは対ユーロでの下落で軟調な動き。先週のメイ英首相による英総選挙実施の発表以降ポンドは急伸し一部には、昨年の国民投票以降のポンド安トレンドの大転換との声も出ている。メイ英首相の権限が強化されることによって、ブレクジットの交渉が有利になるのではとの期待があるようだ。ただ、マクロン氏が仏大統領に当選すれば、同氏はEU離脱に否定的な見解を示し支持されていることから、ブレクジットの交渉には厳しい姿勢で臨むとの見方も出ているようだ。
なお、WSJ紙は関係筋の話として、トランプ大統領は法人税を15%に引き下げることを要請しており、財政赤字回避よりも減税を優先したい意向を示していると伝えていた。選挙中の公約通りの内容ではある。ライアン米下院議長の報道官によると、コーン米国家経済会議(NEC)委員長とムニューシン財務長官にライアン下院議長ら4人の有力議員と25日に税制改革を議論するという。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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