【NY市場】米国債利回り低下や株安でドル円は111円台半ばま下落

 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は111円台半ばまで一時下落した。ドル円はNY時間に入って下げを加速させたが、経済指標など特段の材料は見当たらない中、米国債利回りの下げと株安が圧迫した。

 米国債利回りの下げや株安に特段の理由はなさそうだが、FOMC後のメンバーからはタカ派な発言は少なく、米利上げペース拡大期待が後退していることや、米議会がオバマケアの廃止と新たなヘルスケア法案策定に手間取っており、ここにきてトランプ大統領の経済政策への期待にも一服感が出てきているようだ。

 ヘルスケア法案が決まらなければ、本命の税制改革に着手することができない。そのような中、3月期末が接近していることもあり調整の動きが強まったのかもしれない。 
 
 米株式市場では特に銀行株に売りが強まっていた。銀行株はトランプ相場の象徴なセクターなだけに市場全体のムードを圧迫している。

 ドル円はストップを巻き込んで一時111.55近辺まで下落。その下は111.10付近にフィボナッチ水準が来ており意識される。

 一方、ユーロの見直し買いが続いており、ユーロドルは1.08台を回復した。前日は仏大統領選のTV討論会が実施されたが、直後の世論調査でマクロン氏が優勢との調査結果が出ておりユーロを押し上げている。

 市場の中には政治リスクからユーロドルのパリティ(1.00)を下値目標としていた向きも一旦、ユーロショートを閉じる動きが加速。極右のルペン氏が勝利する確率は4割程度との見方も出ている。

 更にここにきて、米国債利回りの下げが強まっている中、ドイツ国債との利回り格差が10年債で2%を下回ってきており、11月以来の低水準となっている。12月中旬には2.4%程度まで拡大していた。

 きょうはポンドの買いが目立ち、ポンドドルは1.24台後半まで上昇しており、心理的節目の1.25台をうかがう展開となっている。

 きょうは2月の英消費者物価(CPI)が発表になっており、総合指数で前年比2.3%、コア指数で2.0%とインフレ目標に到達している。ポンド安による輸入物価の上昇がインフレを押し上げているようだ。

 先週の英中銀金融政策委員会(MPC)で利上げを主張した委員がいたなど予想以上に英中銀はタカ派ではとの雰囲気も高まっている。きょうのCPIはそれを裏付ける内容ではあるが、即座に利上げを実施するとまではまだ想定し難い。

 しかし、これから始まるEU離脱交渉の過程で、更にポンド安が進むようであれば、英中銀からはタカ派なけん制発言が強まる可能性もありそうだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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