22日のロンドン市場は、ユーロ円の下落が円買いの動きへと波及している。仏大統領選に代表される欧州の政局リスクが背景となっている。仏大統領選をめぐっては連日、世論調査が発表されており、細かい変化はあるものの、第1回目の投票でのルペン氏の優位は揺らいでいない。決選投票ではフィヨン氏、あるいはマクロン氏がルペン氏に打ち勝つとの見通し。ただ、双方の差は縮小傾向にあり、この先の予断は許さない状況。独仏債券の利回りスプレッドは、10年債で81bpと拡大、4年半ぶりの大きな格差となっている。
ギリシャ支援協議は始まったばかり。7月の返済期限に向けてまだ紆余曲折はありそうだ。また、一部報道によるとイタリア政局も不安定。民主党の分裂の可能性が高まっているもよう。様々な政治面でのリスクを抱えており、序盤は堅調に始まった欧州株取引も次第にマイナスに転じる動きとなっている。NY原油先物が軟調に推移していることもリスク動向には重石だった。
ロンドン早朝からユーロ売りが先行、ユーロドルは1.0550近辺から一時1.0494レベルと1.05割れ水準まで下落。ユーロ円は119円台後半から終始売り圧力がみられ、118.60近辺に下値を広げている。NY早朝に向けても戻りは限定的。この日発表された2月の独Ifo景況感指数は111と予想を上回る好結果だった。Ifoのエコノミストは、政治不透明も独経済は驚異的な力強さ、トランプ効果や英国のEU離脱の影響も受けていない、と述べていた。ただ、ユーロ買いの反応はほとんどみられなかった。
ポンドも連れ安。ポンドドルは1.25ちょうど近辺から1.2425近辺へ下落、ポンド円は142円ちょうど近辺から140.50近辺へと下落した。英GDP改定値は、前期比+0.7%と小幅に上方改定され無難に通過した。比較的堅調な推移をみせている豪ドルも上値が重くなった。豪ドル/ドルは0.77台乗せ水準から0.76第後半へと押し戻されており、豪ドル円は87円台前半から86.70近辺まで反落。
ドル円は113円台半ばからジリ安の動き。取引中盤には一時112.97レベルと113円の大台割れとなる場面があった。その後の戻りは113.10-15レベルまでと反発力は鈍い。
このあとのNY市場ではFOMC議事録が発表される。声明では次回利上げについての示唆がなかったが、イエレンFRB議長議会証言にみられたような、タカ派の議論があったのかどうかが注目される。また、バランスシート縮小についても注意しておきたいところ。米株式市場は連日の最高値更新となっており、きょうもその流れが続くのかどうか。強気相場が継続するようだと、ロンドン時間とはムードがガラッと変化する可能性もあり、注意したい。
みんかぶ「KlugFX」 松木秀明
Source: klug
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