きょうのNY為替市場、後半に下げ渋ったものの、ドル売り優勢が続いている。きょうも特段の材料は見当たらなかったが、入国規制を巡ってトランプ政権と米裁判所が係争となるなど、初期段階から政権運営がスムーズに進んでおらず、市場が期待している大型減税など経済政策へのリスクも意識されているようだ。欧州の政治不安もそれに追加されているのかもしれない。
また、先週の米雇用統計での賃金の伸びの低さから、FRBは直ぐには利上げができないとの見方もあるようだ。米地区連銀総裁からは3月の利上げも選択肢にあるといったタカ派な発言も出ているが、市場では3月利上げの可能性を織り込む動きは小さい。CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは、3月FOMCでの利上げの確率を5%程度で見ている状況。
ドル円はNY時間に入って売りが優勢となり、再び111円台に下落している。一時111.65付近まで下落し、今週の安値に顔合わせした。午後になって米10年債入札結果が発表され、不調な入札となったことから、米国債利回りが急上昇し、ドル円も下げ渋る場面が見られた。112円台に戻したが、上値は重い雰囲気に変化はなさそうだ。
ドル円もそろそろ、押し目買いの好機との声も一部には出ているようだが、大型減税などトランプ大統領の具体的な経済政策が打ち出されるまでは、この状態が続くとの見方も少なくない。
一方、ユーロドルはロンドン時間に1.0640近辺まで下落していたが、NY時間に入って買い戻され一時1.07台を回復する場面も見られた。
フランス大統領選への不透明感から、ここに来てユーロ圏の政治リスクが再び意識されており、ユーロは売りが優勢になりつつある。
そのほか、きょうはギリシャへの不安が再燃している。IMFがギリシャに対するレビューを公表しており、ギリシャが更に救済を受けるためには、同国の金融機関の資本バッファー(最低自己資本に積み増す部分)が100億ユーロ必要との見解を示した。これについてギリシャ中銀は異議を唱えている。
なお、NZ中銀が金融政策委員会を開催しており、政策金利の据え置きを決定した。注目の声明では「NZドルは下落が必要」と述べると伴に、「不確実性が残り、政策は調整が必要な可能性」と利下げの可能性を示唆したことから、NZドルは売りを強めた。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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