【NY市場】現段階では保護主義への懸念のほうが根強い

 きょうのNY為替市場、NY時間に入ってドルは戻り売りが優勢となった。特段のドル売りの材料が出たわけではないが、このところの流れに変化はないようだ。米10年債利回りが下げたほか、米株式市場でダウ平均が伸び悩んだこともドルを圧迫している。

 ドルはトランプ大統領の保護主義と利上げ期待の綱引きになっているが、ここ数日の米地区連銀総裁からのタカ派な発言にも反応が鈍い。きょうのカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の発言は慎重だったが、前日のハーカー・フィラデルフィア連銀総裁や、先週のウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁からは、3月利上げも選択肢にあると発言していた。

 しかし、市場は3月利上げの可能性はまだ見ていないようで、CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでも、3月FOMCの利上げ確率は10%以下に留まっている。現段階では保護主義への懸念のほうが強いようだ。

 ドル円は一時111円台に再び値を落とす場面も見られた。ただ、111円台に入ると値ごろ感からの買戻しも入り112円台半ばまで戻している。しかし、112.50水準から上には戻り売りのオーダーも数多く観測され、上値は依然として重い印象。

 一方、ユーロドルはNY時間に入って下げ渋り一時1.07台を回復、ユーロ円も120円台を回復する場面が見られた。ただ、ユーロ円は120円より上は重い。

 目先はこの日の安値水準でもある119.50付近が意識される。フィボナッチ38.2%水準でもあり、この水準をブレイクし、定石通りであれば、フィボナッチ50%水準が控える118円ちょうど付近が視野に入る状況。

 また、フランス大統領選への不透明感が高まりに日本の投資家の動きも警戒されている。ここ数年、日本の投資家はユーロ建て資産の買い越しを続けているが、もし、為替ヘッジなしの場合、ユーロ建て資産のエクスポージャーを減らす可能性もあるのではとの指摘も聞かれた。日本の投資家はユーロ建て資産の中でも特に、フランス国債の購入が多い。

 ポンドに急速に買戻しが入り、ポンド円は140円台を回復している。フォーブス英中銀委員が、英経済は早期の利上げを必要とする可能性を指摘したことに敏感に反応した模様。同委員は「インフレのオーバーシュートを許容することは困難」とも言及していた。

 先週の英中銀インフレ報告では、成長見通しは上方修正されていたものの、インフレ見通しはほぼ据え置いている。英中銀は依然として、利上げにも利下げにも可能性を残していることを強調している。そのような中、フォーブス委員のきょうの発言はサプライズとなったのかもしれない。 

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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