きょうのNY為替市場はドル売りが強まり、ドル円は111円台まで下落した。この日は米経済指標などの発表も無く、特段の材料もなかったが、先週までの流れが続いており、ドル円も下値模索が続いている。きょうはフランス大統領選への不透明感が高まっていたこともドル円を下押したようだ。
この動きにユーロ円は120円割れ、ポンド円も140円を割り込んでいる。ポンド円は139円台前半まで下落しており、200日線を下放れる動きも見られている。ドル円、クロス円とも下向きのモメンタムが日々高まっているようだ。
これまでドル円は、112円が強いサポートとなっていたが、早期に112円台に戻せないようであれば、心理的節目の110円が視野に入りそうな気配も強まっている。目先の下値サポートは111.30付近が意識。
市場は米利上げ期待をまだ織り込んでおらず、いずれドルは反転すると見込んでいる向きは多いものの、トランプ大統領の保護主義政策への懸念もあり、しばらくは上値の重い展開も見込まれているようだ。
なお、今週の金曜日に日米首脳会談が予定されており、市場も注目している。先週はトランプ大統領から、日本は金融政策によって円安を誘導しているといった趣旨の発言が出ており、為替問題も協議されそうだ。それを前に政府は、米財務省関係者らと事前調整を進めるために浅川財務官を訪米させるようだ。
一方、ユーロドルはNY時間に入って下げ渋ったものの、きょうは上値の重い展開が見られた。1.07ちょうど付近まで一時下落している。仏大統領選有力候補のフィヨン元首相に妻への不正給与疑惑が浮上しており、大統領選への立候補取り止めの声も同氏が所属する共和党内からも出ているようだ。この日フィヨン氏は会見を行っており、疑惑を否定していた。
仏大統領の台風の目となっているのが、反EUや移民排斥を掲げている極右政党国民戦線のル・ペン党首だ。週末には大統領選に勝利した場合、ユーロを離脱すると公約している。
下馬評では4月23日の第1回投票勝ち進む可能性はあるが、5月7日の決選投票では敗退との見方が優勢だが、トランプ大統領の誕生や英EU離脱など、世界に保護主義の風が吹く中、情勢は混沌としている。
そのような中、今回のフィヨン元首相のスキャンダルにより、市場はル・ペンリスクを改めて高めている模様。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
コメントを残す