きょうのNY為替市場、米国債利回りの上げは一服しており10年債は3%を再び下回っているものの、ドル買い優勢の展開に変化はない。特に対ユーロでのドル買いが他にも波及している。
きょうはECB理事会が開催され、大方の予想通りに政策変更はなかった。注目はドラギ総裁の会見だったが、景気の勢いが今年に入って弱まったことを認めたものの、拡大が続くことへの自信も示唆している。資産購入プログラムや為替については協議せず、ユーロ圏経済の健全性を判断することに終始したという。
市場はもう少し慎重な内容を期待していたところもあり、会見を受けユーロは買い戻しが強まった。ユーロドルは1.22ドルちょうど付近まで上昇。しかし、1.22ドルに上値を抑えられ急速に戻り売りが強まっている。短時間に100ポイント急落する動きとなり1.20ドル台に下落する場面も見られた。
日本時間23時のオプションのNYカット前後から急速に売りが強まったが、オプション絡みのテクニカル的な動きとの指摘も出ていた。1.22ドルに上値を拒まれ、強いサポートとなっていた1.2155ドルも再びブレイクしたことでロング勢も一旦モメンタムを失っているのかもしれない。
大きな心理的節目の1.20ドルを視野に入れる動きではあるが、目先は1.2090ドルがサポートして意識される。
米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長がムニューシン米財務長官とともに自身も訪中し、中国と会合に高い期待を持っているとの発言が伝わったこともドルをサポートしたのかもしれない。市場も米中経済対話に多少期待感を寄せているようだ。
米10年債利回りが3%を再び下回る中、ドル円はロンドン時間から戻り売りが優勢だった。一時109.10近辺まで値を落としていたが、日本時間23時のオプションのNYカット前後からユーロドルが急速に売られたことをきっかけにドル買いが強まりドル円も109.40円付近まで買い戻される動き。米株がフェイスブックの好決算などを受けてIT・ハイテク株中心に買い優勢となっていることもサポートしている。
ただ、全体的には狭い範囲での値動きに留まっている。ドル円はこのところの急ピッチな上昇でさすがに足元の過熱感は否めない。過熱感を示すテクニカル指標であるRSIは買われ過ぎの70の水準を上回っている。10日線からの上方かい離も拡大しており、テクニカル的には冷水が欲しいところではある。109.50円にかけては売りオーダーも観測されている中、110円に向けて上値を試す動きはまだ見られていない。
ポンドも売りが強まった。ロンドン時間には1.40ドルを試す動きも見られていたが、到達せずに失速している。上に往って来いの展開。1.39ドルは強いサポートとなっていたものの、心理的節目の1.40ドルは上値抵抗を強めている気配もある。
先日のカーニー英中銀総裁の発言から5月利上げ期待は後退しているものの確率は60%程度まで回復している。利上げの可能性はまだ十分にあると見ているようだ。目先は100日線が1.3865ドル付近に来ており意識される。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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