ビットコインの注目トピック:「Fungibility」とは何か

10月8日~9日にかけてイタリアで行われたスケーリングビットコインというイベントが行われた。世界のビットコインに関わる人々が参加して、ビットコインを良いものにしていくための議論が行われるものだが、今回大きな注目トピックの一つに「Fungibility (ファンジビリティ)」というものがあった。1日目の午前のセッションでこれについて話され、Blockstreamのアダム・バック(Adam Back)氏とマット・コラロ(Matt Corallo)氏が概要を説明している。

 

ビットコインの代替可能性とは

 

Fungibleとは商取引等において、他の同等の物と品質等が同じで代替・交換が可能であることを意味する。Fungibilityは「代替可能であること」だ。

 

これをビットコインに当てはめると、Aさんの持っている1ビットコインとBさんの持っている1ビットコインは同じ価値があって交換・代替できるものかという問題になる。

 

通常であれば代替性があるはずなのだが、もしもAさんの持っているビットコインが過去にシルクロードで違法な薬物の取引に使われたビットコインで、いざビットコイン決済をしようとした時店舗側から犯罪に使われたことのある「汚れた」ビットコインは決済に受付ない、と断らる可能性が考えられている。

 

そうなると、Aさんの持っている1BTCもBさんの1BTCも同じはずなのに実は「きれいなコイン」と「汚れたコイン」があり、片方は使えない場所があったり、価値が変わってしまうという事態が起きてしまう。

 

 

もしかするとビットコインの取引履歴の分析を行うウォレットや仮想通貨取引所で、あなたの持っているビットコインは受け入れられません、と言われるかもしれない。もし、違法なものに使われたのが、Aさんにビットコインが送られるよりも4回前の取引で、Aさんはそれと全く関係がないにも関わらず影響を受けてしまうのではビットコインを安心して使うことはできなくなってしまう。

 

代替可能性を欠くことの影響

 

そうなってしまうと、毎回ビットコインを受け取るたびにブロックチェーン解析サービスに問い合わせをして、このビットコインを受け取ってよいかどうか確認しなければいけなくなるかも知れず、それが「汚れたコイン」だったら、支払いを断ったり送り返したりしなければならなくなる。バック氏は「最悪の場合、信用が失われて崩壊につながるかもしれない」と述べている。

 

また、バック氏は「ビットコインにとってパーミッションレス(誰の許可もいらない状態)であることは不可欠だ。もし、相手から受け取るビットコインが良いものか、悪いものかを考えなければならなくなると、ブロックチェーン解析サービスを使って確認しなければならなくなる。これでは分散型でパーミッションレスなシステムであるはずのビットコインが集中型の許可が必要なシステムに代わってしまう。これは望ましくない事態だ。」と語っている。

 

ビットコインでなくても同じような問題はあり、例えば自分が買った絵画が実は元はどこからか盗まれたものだと分かった場合、絵画を返却しなければならない。しかし現金の場合はそうではなく、何に使われたものであってもお金が安心して受け取れるものでなければお金への信用が失われ経済に大きな影響を与えてしまう、とバック氏は説明した。

 

この代替性にはビットコインの取引における情報の漏洩を減らすことになり、ビットコイン取引におけるプライバシー保護の問題に関連している。イベントでは代替可能性を実現するための方法として同じビットコインのアドレスを使わないといった注意点やJoinMarket、TumbleBit、MimbleWimbleといったソリューションについて話された。

 

プレゼンテーションの様子:https://www.youtube.com/watch?v=8BLWUUPfh2Q

ビットコインの匿名性に関するリンク:http://www.slideshare.net/visvirial/bitcoinbitcoin20150720

ビットコインの注目トピック:「Fungibility」とは何かCoinPortalで公開された投稿です。

Source: Coin Portal

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