インタビュー:Everledger CEOリアン・ケンプ氏

今回編集部は9月28日のRakuten Fintech Conference2016 に合わせて来日したEverledgerのリアン・ケンプ(Leanne Kemp)氏にお話を伺った。

 

Everledger (エバーレッジャー)はブロックチェーン使った所有者証明の為のプラットフォームだ。サプライヤー、バイヤー、運送業者といったサプライチェーンの中でダイヤモンドの窃盗や偽装から保護し、また戦争や犯罪に関わるものではないと証明することに役立てられ、既に980,000のダイヤモンドの鑑定書の情報がEverledgerに記録されている。

 

EverledgerのCEOを務めるケンプ氏はオーストラリア出身の女性起業家で1990年代の中ごろRFIDを使ったサプライチェーンに関わる仕事をしており、2000年には証明書の記録を追跡する膨大なデータを取り扱った経験がある。また、これまで3つの会社を立ち上げてきており、今回の事業で最後だと家族に約束しているため、Everledgerは彼女のキャリアの集大成ともなるプロジェクトだ。

 

Everledgerでダイヤモンドのサプライチェーンを管理

 

編集部(以下、編):Everledgerに取り組むきっかけは何だったのですか?

 

ケンプ氏(以下、ケ):私はテクノロジーの知識があるのでソフトウェアを書いたり、コードを理解することができるのですが、ブロックチェーンやビットコインについて知ったときはどのように動いているのかと興味を持ちました。そしてその数年後に決済だけでなく商品の追跡などに使えるのではないかと思ったのです。ダイヤモンドには紛争ダイヤモンドや宝石の保険詐欺などの問題がありますが、個々を識別できる鑑定書がありますし、これなら自分で始められるのではないかと思いました。

 

編:Everledgerはどのように使われるものなのでしょうか。

 

まずはダイヤモンドの情報をデジタル化します。ダイヤモンドにはアメリカのGIA、ベルギーのHRD、その他IGIやEGLといった機関から発行される鑑定書があり、そこに書かれている形やカット、重量(カラット)などの情報をブロックチェーンに記録します。これはダイヤモンドの指紋のようなもので、一つひとつ違った特徴があります。APIを通じてその情報を公開し、銀行や保険会社がその情報を確認できるようにしています。

 

編集部:ブロックチェーンは何を使っているのですか?

 

プライベートチェーン、ビットコインのネットワーク、それにイーサリアムも使っています。どれが一番良いかわからないのでテストしている状況です。

 

どのブロックチェーンが一番かはまだ何とも言えません。どれも違った特徴がありますし、紛争ダイヤモンドの撲滅に政府がEverledgerを使おうとするときはダイヤモンドの記録にビットコインやイーサリアムよりもプライベートブロックチェーンを好むのではないかと思います。

 

 

ブロックチェーンを使った管理、他は何に使える?

 

編:ブロックチェーンを使って様々なサプライチェーンの管理に使えるのではないかとのアイデアも聞きますが、ダイヤモンド以外どんなものに使えますか?

 

ケ:コモディティであれば何でもできると思います。ゴールドや銅もできるでしょうね。食べ物も、魚や牛乳だってブロックチェーンで管理できてしまいます。

 

編:牛乳の管理をブロックチェーンでするというのはビジネス的には理にかなうものなのでしょうか。

 

ケ:私にとっては「ノー」です。永久に保存できる改ざん不可能な台帳にすぐ消費されたり腐ってしまうものを記録する意味はあまり無いと思います。チャリティーに使うのは面白いと思います。せっかく支援先に物資を送っても途中で盗まれたりすることがあるので、それを防ぐことができるのではないでしょうか。

 

ダイヤモンドやピカソの作品はいつまでも残るのでブロックチェーンで記録管理するのには良いと思います。他にも骨董品、翡翠、ルビーやサファイアなどの宝石にも使えるはずです。

 

編:今後はどのよう計画なのでしょうか?

 

ケ:お店などで流通しているダイヤモンドの全てを記録しようとするとなると、ブロックチェーンの技術としての成熟度がまだ足りないのではないかと思いますが、世界約80カ国で取引されるダイヤモンドの原石ならすぐにでもできると思っています。

 

流通する研磨されたダイヤモンドの流通管理は2018年、グローバルスケールでの研磨されたダイヤモンドの決済の記録は2018年~2020年の間になるのではないかと見ています。まだB2CでEverledgerは使えませんが、来年とてもエキサイティングな発表ができる予定なので楽しみにしていただきたいです。

 

将来的にはダイヤモンドだけでなく、ワインやアート、時計やその他バッグやサングラスのようなラグジュアリーグッズの証明もできるようにしたいと思っています。また、Everledgerでダイヤモンドの問題が解決できるのなら、例えば蛇の皮や象牙などの情報を記録して絶滅の危機にある動物を救うことだってできると思います。

 

テクノロジーを使えば何だって作れてしまいますが、だからこそこれまでに解決できなかった問題を解決するために使う方法を考えなければならないと思います。スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグのようなリーダーを見ていると、重要なのは答えではなく何が問題かを考えることだと思います。

 

インタビュー:Everledger CEOリアン・ケンプ氏CoinPortalで公開された投稿です。

Source: Coin Portal

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