文章の中に「ビットコイン」と「アフリカ」という言葉出てくると、大抵その次に来るのは「送金」だ。ビットコインが初めて主流となった2013年には、その低コストの送金がWestern UnionやMoneyGramのような大手送金企業(MTOs)による高額な送金サービスに対するソリューションだと考えられていた。
アフリカへの送金については特に期待が高まっていたものの、ビットコインが初めて世に出てから8年間経った今でもアフリカにおけるビットコイン送金はそれほど発達していない。
ケニアにおけるビットコインの課題
アフリカのおけるビットコインは西欧のビットコインファンやステークホルダーによって大きく宣伝されてはいるものの、実際のところはまだ分からない部分が多く、ビットコインの普及はむしろ遅いペースで進んでいる。
ケニアのピア・ツー・ピアの取引量(LocalBitcoins.com)を見ると、ビットコインは間違いなくポジティブな傾向にあるが、世界のその他の地域に比べるとまだまだ小さい。
ケニアやその他のアフリカのビットコイン利用者は、ビットコインで支払いを受ける技術系のフリーランサーや仮想通貨トレーダーがほとんどだ。ケニアのビットコイン普及における最大のハードルは同国最大のテレコム企業Safaricomが所有するモバイル送金サービスMPesaだ。
人々がモバイル送金に慣れているということはビットコインを受け入れる土壌はあると考えることもできるのだが、既にMPesaという便利なサービスがあるがためあえてビットコインを使う必要性も少ない。さらに、SafaricomはビットコインがMPesaに対する脅威だと考えており、2015年にはビットコイン企業KipochiとBitPesaを同社のサービスから締め出した。
BitPesaは最高裁に訴えたが、その訴えは退けられ、ケニアの中央銀行もそれに続いてビットコインに否定的な発言をしている。BitPesaのCEOであるElizabeth Rossiello氏によると、同社はナイジェリア、ケニア、タンザニア、ウガンダそしてコンゴ共和国で操業を行っているが、Kipochiはケニアでの事業を停止せざるを得ない状況となった。
ガーナのビットコイン送金
残念なことに、Kipochiはアフリカにおけるビットコイン送金業界で困難に直面している唯一のスタートアップではない。ガーナに拠点を置くスタートアップBeamもまたアフリカにでのビットコインビジネスの構築に失敗している。
Beamは2014年の10月にサービスを立ち上げ、ビットコインネットワークの利用によってガーナでの送金サービスを改善しようとしている。しかし、1年も経たないうちに、Beamの経営陣はサービスをたたむことを決断した。理由はビットコインを現地通貨に変換する際の複雑さ、ビットコインを受け入れるビジネスの少なさ、そしてビットコインの高いボラティリティだと発表されている。
Beamの取り組みは失敗に終わり現在はビジネスモデルを変えて事業を行っているが、、地元の企業家たちはこのアイディアをあきらめていない。現在ガーナに拠点を置く二つの電子マネー交換サービス、PMCediとPayPluxがあり、ビットコインを支払い手段として受け入れ、国際送金に用いている。
Cashaaとシェアリング経済
ロンドンに拠点を置くビットコインスタートアップCashaaは、数ヶ月におよぶベータテストを成功裏に終えてデジタル通貨送金市場に参入した最も新しいプレイヤーである。
Cashaaのビジネスモデルは他のビットコイン送金スタートアップとは異なり、フィアット通貨の交換を行う地元のトレーダーを巻きこんだピア・ツー・ピアのモデルを採用している。
Cashaaの創設者兼CEOのKumar Gaurav氏は同社の利点がそのようなビジネスモデルにあると言う。ある国から別の国にピア・ツー・ピアの送金を行うことができることによって、ビットコイン送金企業がアフリカで直面している課題に対応することができるというのだ。
「国際間のビットコイン送金を行う際には2度の交換を行う必要があるが、ビットコインをガーナの通貨であるCediに交換する際には流動性が大きな問題となる。なぜなら地元のビットコインに対する需要が十分ではないからだ。」
Cashaaは流動性の問題に対応するために、地元の交換所、ビットコインATMそして地元の暗号通貨トレーダーと提携を結んでいる。
また、デジタル通貨のトレーダーになることによってより多くの稼ぎを得られるようなUberやOlaのドライバーもターゲットとしている。
ついにアフリカにおけるビットコイン送金の機が熟したか?
アフリカにおけるビットコインの認知が高まるにつれて、より多くのデジタル通貨による送金が行われると考えられる。世界銀行によると、アフリカへの送金手数料の平均は12パーセントであり、平均送金額は200ドルであり、低コストかつ高速なデジタル通貨によって送金を行うのは理にかなったことである。
エコシステムが成熟し、より多くの企業が現在の障害を克服するための実験を行うことで、数十億ドルの市場規模を持つアフリカ送金市場にビットコインが食い込むことができるかもしれない。
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Source: Coin Portal
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