きょうのNY為替市場は引続きドル買いが優勢となった。前日のECB理事会を受けてユーロが下落しており、改めて市場はドル買いを入れていっるようだ。米株式市場も最高値更新を続け、米国債利回りも上昇が続いていることからドルに安心感が一層強まっているものと思われる。
なお、きょうはミシガン大消費者信頼感指数の速報値が発表になっていたが、2015年の1月以来の高水準となっていた。トランプ氏の大統領選勝利以降の調査だが、大型減税やインフラ投資への期待が高まっており、米株式市場も最高値を更新している。米雇用統計でも失業率が4.6%と完全雇用に接近する中、米消費者のセンチメントは高まっているようだ。
ドル円は上値へのモメンタムが引続き強く、心理的節目で上値抵抗も強かった115円台をとうとう回復してきている。利益確定売りも出ていたようだが、115円台を維持して終えており力強い動きを続けている。
今後の動向が気になるところではあるが、まずは115円台を固めることができるかが最大のポイント。目先の上値レジスタンスとしては、115.50/60水準を意識され、2015年6月から2016年6月の英国民投票直後の安値までの下降派のフィボナッチ61.8%戻しの水準が115.55付近にあたる。
一方、ユーロはECB理事会を受けての売りが続いており、ユーロドルは一時1.05台前半まで下落した。今回のECBの決定だが、一部報道で妥協があったと伝わっていた。ECBスタッフは始め「800億ユーロ・6ヵ月間」の延長を議題の中心として据えていた。市場予想と一致しているが、納得できない各国中銀総裁が多かったことから、ECB側は次に「600億ユーロ・12ヵ月間」で提案。しかし、タカ派な国からは「6ヵ月・600億ユーロ」が提示され、そこで中間の「9ヵ月・600億ユーロ」で決まったという。ECBはこの報道にコメントしていない。
ポンド円は上昇していたものの、きょうのポンド自体は軟調でポンドドルは1.25台半ばまで下落している。英中銀はきょう、英消費者に対するインフレ態度調査を公表しており、向こう1年間のインフレ期待は2.8%に上昇していることがわかった。2014年以来の高さ。そして、約40%の消費者が1年以内の利上げを予想していることも判明しており、8月調査の21%から急上昇している。
来年は英国民投票後のポンド安による急激なインフレが見込まれる中、英消費者もそれを敏感に感じとっている模様。英中銀は利上げ利下げどちらにも選択肢があるとしているが、国民投票後も意外に足元の経済指標が好調なことから、英EU離脱の影響は懸念されるものの、利上げの見通しを強めているのかもしれない。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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