きょうのNY為替市場はドル買いの動きは一服していたものの、底堅さも同時に見られている。米国では本日は、感謝祭明けのブラックフライデーと呼ばれるショッピングの日といった位置づけで、週明け月曜日のサイバーマンデーとあわせて、市場でもその動向を注目している。米国ではこの短期間に、年間の4割が消費されるとも言われている。前日の感謝祭の日の夕方にはネットショッピングで10億ドル超が消費されたとのデータも発表されていた。
トランプ氏の経済政策への期待から景気の先行き期待が高まっており、為替市場はドル買いを加速させている。きょうはその流れが一服といったところだったが、下値では押し目買いも根強く、ドルの底堅さも印象付られる展開ではあった。
ドル円は東京時間に生保など日本の機関投資家の買いも観測され114円手前まで上昇していたが、NY時間にかけて戻り売りに押されていた。特に悪材料は出ていないが、短期筋の売りが活発に出ていたようで、参加者の少ない感謝祭明けの相場にリスクを感じていたのかもしれない。
一時112円台半ばまで下落する場面もあったものの、NY時間に入ると、米株が最高値更新を続けていたこともあり、下げ渋る展開となった。112円台半ばの買いオーダーをこなせば112円付近までの下げも警戒されたが、底堅さを堅持している。
ユーロドルは一時1.0625付近まで買い戻されていたが、それ以上の戻りはなかった。1.06台前半から半ばにかけては売りオーダーも並んでおり、上値を抑えたようだ。
目先はのユーロのリスクは憲法改正の是非を問うイタリア国民投票であろう。レンツィ首相は否決されれば辞任するとしており、市場では政治的混乱への警戒感が高まっているようだ。
最新の世論調査ではほぼ全ての調査会社が否決派優勢の調査が出ているが、市場関係者の一部からは、世論調査の信頼性に疑問を投げかける向きもおり、ユーロドルは相当程度の買い戻しが入るリスクも考慮すべきとの指摘も出ていた。
イタリアのパドアン経済・財務相のインタビューが伝わっていたが、国民投票の結果で2011年の債務危機の状況が再び起こるリスクは無いとの認識を示していた。また、2017年の予算案通過にも影響が出ることはないとの見通しも示している。
英国民投票、米大統領選の番狂わせが強調されているが、どちらも世論調査も外していたことも事実ではある。ただ、市場は否決と見ている向きが多い。
ポンドが底堅い動きを続けており、ポンドドルはしっかり21日線にサポートされている。今週はハモンド英財務相の秋の予算方針が発表されていた。財政支出について、巨額のインフラ投資や減税で景気を刺激すべきとの声も強かったが、道路改修やIT投資など優先順位をつけた支出に留め、財政健全化の路線を堅持した。
その背景に一つに足元も経済は底堅く推移していことが挙げられていた。きょうも第3四半期の英GDP改定値が発表になっていたが、速報値と変わらずの前期比+0.5%と力強さを維持している。また、英産業連盟(CBI)が発表した11月の小売り統計は予想以上に強かった。英統計局が今月発表していた10月分の英小売売上高も強い内容だったが、11月も期待できそうな気配も出ている。
EU離脱に絡んだ不透明感は依然として重しとなっているものの、足元の経済指標の底堅さと、ポンド安による来年以降のインフレ期待から、少し見直し買いも入っているようだ。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
コメントを残す