きょうのNY為替市場、午後になって公表されたFOMC声明を受けドル買いが優勢となったものの、上昇していた米株が戻り売りに押され、米10年債利回りも下げに転じたことからドル売りも見られていた。
FOMCは大方の予想通り政策は据え置きとなった。今回は会見も経済見通しの発表もなく声明のみが手掛かりだったが、内容は甲乙つけ難かったように思われる。声明では「さらなる緩やかな金利上昇が適切になる公算」と慎重な見方を示す一方で、インフレについては「今年上昇し、中期的に2%前後で安定」としている。
今年は3回の利上げが見込まれているが、4回という強気な見方も出ている。しかし、今回の声明からは少なくとも4回の利上げの可能性はまだ小さいように思われる。インフレ指標次第といった印象だ。インフレへの表現がやや上方修正されたことから、ドル買いで反応したが、月末でもありポジション調整の範囲といった雰囲気ではあった。そのような中、今度は米株が伸び悩んだことでドルは伸び悩んでいる。
ただ、きょう1日を振り返れば、ドルはロンドンフィキシングを境に買い戻しが優勢ではあった。
ドル円は109円台を回復。序盤は主に円安の動きがドル円を押し上げていたが、フィキシングを通過するとドル買いも出始め堅調に推移した。一時109.40円近辺まで上げ幅を伸ばしたが、目先の上値レジスタンスとしては10日線が109.75円付近に来ており意識される。
年初以来、一時108円台前半まで下落するなど急ピッチな下げが続いて来た。過熱感も出ており短期的なリバウンドも期待したいところではある。ただ、あくまで自律反発の範囲であることは留意される。
ユーロドルは、前半はフィキシングに向けて買い優勢となり、1.2475ドル付近まで上昇する場面も見られた。月末要因のドル売りが押し上げていたようだが、フィキシングを通過するとドルに買い戻しが強まり戻り売りに押されている。
底堅さは変わらないものの、上値レジスタンスとなっている1.25ドルには慎重な雰囲気も出ている。1.25ドルを超える水準はECBも現段階では許容できないとも言われているが、その表れか、このところECB幹部からは慎重さを強調した発言が相次いでいる。きょうはクーレECB専務理事のインタビューがロンドン時間に伝わっていたが、金利は長期間低水準に留まるとの見方を示していた。
インフレも足元は上昇の気配までは見せておらず、この日発表になったユーロ圏の消費者物価指数(HICP)速報値はコア指数で前年比1.0%、全体で1.3%と前回から水準に変化はない。9月に現在の量的緩和策が終了するが、それ以降も規模を縮小して資産購入を継続する可能性を強調しており、9月で緩和終了とのタカ派な見方をけん制している。
ポンド円は155円台を一時回復している。円安のほかポンド自体も強い動き。このところ、ポンドは2016年の英国民投票以降の下げを取り戻す動きが続いているが、足元はファンタルズよりも、EU離脱交渉のニュースに振らされる動きが顕著に見られる。市場には離脱交渉に楽観的な見方が増えつつあり、ポンドをポジティブに見る向きも増えている模様。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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