きょうのNY為替市場、前半はドル安が加速したものの、終盤になって買い戻しが強まった。終盤のドル買い戻しはトランプ大統領の発言ががきっかけとなった。大統領は「ムニューシン米財務長官の発言は文脈の問題。最終的には強いドルが望ましい」と発言。市場ではトランプ大統領のダボス会議での演説に警戒感が出ていただけに、この発言は市場の懸念を後退させていたようだ。過熱感も出ていたドル安の巻き戻しが強まっている。
ただ、前半はドル安が加速していた。この日の最注目はECB理事会後のドラギ総裁の会見であったが、ECBの声明自体は、予想通りガイダンスの変更はなかったほか、ドラギ会見もインフレや景気に関しては概ね変化はなかった。
しかし、「ユーロの変動は見通しを不確実にさせる」と、ユーロ高をけん制していたようにも思われ、また、市場の年内利上げ観測も「可能性は非常に小さい」と火消し回っていた。ユーロにとってはネガティブな内容だったようにも思われるが、市場は逆にユーロ買いの反応を見せた。地合いということなのだろう。この反応を見て逆にドル安が進んだとも言える。
ドル円は一時108.50円付近まで下落。ただ、トランプ発言を受けて後半には109.70円近辺まで買い戻される場面も見られた。明日以降、心理的節目の110円台まで回復できるか注目。その上は10日線が110円台半ばに来ている。ここ数日の急ピッチな下げでショートポジションがかなり積みあがっているものと思われ、良い冷や水となったようだ。
一方、ユーロドルはドラギ会見後、2014年12月以来の1.25ドル台に上昇。一時1.2535ドル付近まで上昇した。しかし、トランプ発言を受けて一気に戻り売りが強まり、一時1.2365ドル付近まで急落。この日の動きでローソク足は長い上ヒゲを示現している。一旦、戻り売りのサインとなるのか明日以降の動きが注目される。
1.25より上はECBも許容しがたい水準とも言われている。きょうのドラギ会見は不発ではあったが、今後もECB理事からのユーロ高けん制発言も相次いで出そうな雰囲気もある。一部のECB理事から、ガイダンス変更は6月に延期すべきとの意見も出ていたとの報道も流れていた。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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