きょうのNY為替市場は主要な米経済指標の発表も無い中、先週のドル買いの動きは一服していた。年末に向けたドルショートのポジション調整も米雇用統計を経て一段落しているようだ。
今週はFOMCが予定されており最大のイベントとなりそうだ。利上げが確実視されているが、既に織り込み済み。注目はFOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)ということになりそうだ。
先週発表の米雇用統計の平均時給からしても、インフレに関しては強気になれる局面ではない。しかし、インフレ以外の指標は堅調な景気回復を示しており、保守的になる局面でもない。9月と同様に来年は年3回を予想してくるとの見方が有力と思われるが、いずれにしても結果を見極めたいところではある。
ドル円は一時113円台前半まで下落する場面も見られたものの、後半になって米国債利回りが上昇に転じたことで下げ渋る動きが出ている。この日の米10年債入札が不調だったことで利回りが上昇しており、ドル円をサポートしたようだ。
一方、ユーロドルは前半は買い戻しが優勢となり、一時1.1810ドル付近まで上昇する場面も見られた。ただ、後半になると伸び悩み、きょうの上げを失っている。今週はFOMCの翌日にECB理事会も予定されている。大きな政策変更はないものと見られるが、ドラギ総裁の会見やスタッフ見通しが注目される。特に成長見通し、インフレとも上方修正してくる可能性はありそうだ。その場合のユーロドルの反応を見極めたい雰囲気もあり、1.18ドル台には慎重だったようだ。
ポンドは戻り売りが続いており本日安値圏で推移。英10年債利回りが先週の米雇用統計以降の下げをきょうも続けておりポンドを圧迫している。漸く離脱交渉の第1フェーズがまとまり、今週のEU首脳会談で承認される見通しだが、市場は既に第2フェーズの通商交渉に焦点を移しており、第1フェーズ以上に難航することが警戒されている。更にメイ首相の去就を巡って政局に不穏な動きもあり、ポンドは利益確定売りが続いている状況。また、アイルランドの国境問題は明確な解決策も出ておらず不透明感もあるようだ。
今週は英中銀金融政策委員会(MPC)がある中、明日は英消費者物価指数の発表が予定されている。CPIと、住居費も含めたCPIHが発表されるが、ともに前回と同じか、若干の上昇が見込まれている。英中銀は物価高はまもなくピークを迎えるとしているが、今回はまだ高い水準が見込まれているようだ。
なお、英国家統計局(ONS)はCPIHを好ましいとしているが、英中銀は引き続きCPIを政策目標に用いている。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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