きょうのNY為替市場、ドル円は一時111円を割り込んでいる。日本の報道で北朝鮮による弾道ミサイル発射準備をうかがわせる電波信号が捕捉され、政府が警戒を強めていると報じられたことがリスク回避の円高を誘発した模様。数日内の発射もあり得るとしている。北朝鮮問題に関しては常にそこにあるリスクではある。
きょうから感謝祭明けの本格的な取引が始まっているが、米税制改革法案に対する不透明感が依然として根強い。米税制改革法案は米上院に協議が移っているが、与党共和党がまとまり切れないでいるようだ。上院の場合、共和党は与党とはいえ議席は100議席中52議席となっており、数名が造反すれば可決できない。既に造反の意向を示している共和党議員もおり年内に成立させることができるのか非常に不透明な情勢。例え成立させることができたとしても上下両院で法案の内容が異なるため、更に両院間で擦り合わせる必要がある。
米上院共和党は明日28日に開く昼食会にトランプ大統領が出席し税制改革について協議すると発表した。米税制改革法案はトランプ政権の目玉政策でもあるだけに法案成立は政権維持のためには絶対条件だ。
ドル円はきょうの下げで200日線を完全に下放れする動きとなっている。9月から11月初旬にかけての上昇波のフィボナッチ50%戻しが111円ちょうど付近にきているが、その水準を一時下回った状況。目先は同フィボナッチの61.8%戻しが110円台前半にあり、その水準を試しに行くか警戒される。
ユーロドルは序盤に買いが強まり一時1.1960ドル近辺まで上昇した。ただ、その後は急速に戻り売りに押されており、1.18ドル台に値を落としている。ドイツ国債の利回りが下げておりユーロを圧迫。
米税制改革法案への不透明感もある一方でユーロのほうもドイツの政局が依然として不安定だ。メルケル首相率いる与党キリスト教民主同盟(CDU)はきょう、幹部会を開いており、第2党の社会民主党(SPD)との大連立に向けて交渉を始める方針を決めた。メルケル首相は会見で「ドイツで安定した政権をつくることが大切。SPDとの話し合いに応じることにした」と語った。ただ市場では、いずれにしろ連立政権が誕生し再選挙は回避されるとの楽観的な見方が優勢だ。
週内に心理的節目の1.20ドル台に再び上昇するか注目されるが、1.20ドル付近までにはオプション絡みなど売りオーダーも多数観測されている模様。9月につけた年初来高値は1.2090ドル付近。
ポンド円は147円台後半と本日安値圏で推移している。円高の動きが圧迫しておりポンドを押し下げている。ポンドドルも序盤には1.3380ドル付近まで上昇していたものの、1.33ドル台前半に伸び悩んでおり上に往って来いの展開となっている。対円での下げが圧迫した可能性も。
ただ、このところEU離脱交渉が前進するとの期待感が高まっており、ポンドは堅調な動きが続いている。つい最近までは12月のEU首脳会談までに合意できないのではとの観測からポンドは下値警戒感も高まっていたがその動きも一服しているようだ。
英中銀の利上げ期待に関しても来年一杯は厳しいとの見方が強まっていたが、来年1回の利上げ期待も浮上してきているようだ。短期金利市場では2018年9月の利上げで織り込まれている状況。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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