きょうのNY為替市場は先週からのドル売りは一服していたものの、買い戻しも見られず全体的に神経質な展開となった。米税制改革で上院共和党と下院共和党が双方法案を提示しており、年内成立には難航も予想され不安感も高まっている。
一方でFRBの利上げ期待は依然として根強く、市場は12月利上げを確実視しているものの、インフレ鈍化への懸念は根強い。米国債利回りも政策金利に敏感な短期ゾーンは上昇するものの、長期ゾーンはさほど上昇せずイールドカーブのフラット化が鮮明になっている。基本的にフラット化はドルの圧迫要因と考えられる。
そのような中、今週は米消費者物価指数(CPI)の発表も予定されており、議会とあわせて物価動向を確認したい雰囲気もあるようだ。なお、米税制改革について米上院財政委員会は、委員長による修正法案を明日公表する見通し。
ドル円はロンドン時間に売りが強まり、113円台前半でNY時間に入ってきた。しかし、先週後半に調整が強まっていた米株が下げとまったことや、米10年債利回りも序盤の下げを解消したことから買い戻しが膨らんだ格好。
きょうも、21日線(本日113.50付近)でサポートされている。ここ数日、21日線を割り込むもののサポートされる動きが続いており、明日以降の動きが注目される。きょうのところは114円には慎重な雰囲気も強かった。
一方、NY時間に入って下げが一服したものの、きょうはポンドの下げが目立っている。前日の英サンデー・タイムズ紙で、英保守党議員40名がメイ首相に対する不信任を表明する書簡の署名に同意したと報じられ、市場ではメイ政権に対する不信感が強まっている。同紙は首相交代にはあと8人からの不信任が必要とも伝えていた。
市場はメイ政権の去就はもちろんのこと、EU離脱交渉について年内に大きな進展はないのではとの見方も強まっており、ポンドは上値が重い展開が続いているようだ。明日は10月の英消費者物価指数(CPI)の発表が予定され、前年比で3.1%と前回(3.0%)よりも高い水準が見込まれている。英中銀はまもなくインフレは落ち着くとの見通しを示しているが、市場はもうしばらく高い水準が続くと見ているようだ。
今週はそのほか英雇用統計も発表される。ポジティブな内容であれば買い戻しも期待されるが、ポンド相場は政治不安やEU離脱交渉の行方に焦点が移っており、年末にかけ上値は重いとの指摘は多く、また、厳しい局面をまだ織り込んでいないとの指摘も聞かれた。
一方、ユーロドルも堅調で1.1670近辺に上昇。ここ数日下げ止まる動きを見せている。きょうもNY時間に入って買い戻しが見られているが、1.1690付近に来ている21日線には慎重な雰囲気も強い。
ユーロ自体の買い戻しというよりもドル高が一服が買戻しの要因。ユーロ自体に動意はなく次の展開待ちといったところのようだ。1.17に接近すると戻り待ちの売りも多く見られる。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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