きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となった。この日発表になった米経済指標が好調だったことや、米株、米国債利回りとも上昇していることからドルは買い戻しの勢いを増している模様。
この日はサンフランシスコ連銀総裁やフィラデルフィア連銀総裁の発言が伝わっていたが、ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁は利上げに関して、「インフレ指標が上向くのを確認する必要はない」とまで述べていた。
CMEがFF金利先物から算出しているFEDウォッチでは、12月FOMCでの利上げ確率を80%近くまで高めており、ほぼ確実視している状況。
ドル円も買いが優勢となったが、113円台には慎重。連日113円台で上値を抑えられていることから慎重になっているものと見られる。もう一段きっかけが欲しいところだが、その意味では明日の米雇用統計は注目される。
非農業部門雇用者数(NFP)は8万人増が予想されている。ここ最近では低めの予想となっているが、ハリケーンの特殊事情を加味しているためだ。米労働市場の基調判断という点では今回のNFPは参考にならないのかもしれない。むしろ、平均時給などハリケーンの影響が出にくい指標を注目したい。予想では前月比で0.3%、前年比で2.5%となっているが、予想を上回るようであれば、ドル買いに弾みが付く可能性もありそうだ。
113円を突破した場合の目先の上値ターゲットとしては、113.85付近を意識したい。7月高値が114.50付近にあり、直近高値の113.25付近からちょうど半分程度の距離にある。114円台はさすがに抵抗も強そうなことから、利益確定売りをそれなりに吸収してからとも思われる。
一方、ユーロは下値模索が続いており、ユーロドルは1.17割れを試す動きとなっているほか、ユーロ円も131円台に下落している。この日のECB議事録を受けて、今月26日の理事会で打ち出されると見られている出口戦略が、予想以上に緩やかなものになるとの見方が強まっている。1.17をブレイクした場合には、8月17日の安値が1.1660付近にあり、目先のサポートとして意識される。
ポンドの下げが止まらない。ポンドドルは1.31台前半まで下落し、ポンド円は147円台に下落。英中銀の11月の利上げ期待は根強いものの、英EU離脱交渉とメイ政権への不安がポンドを圧迫している。
前日に英与党保守党の大会が終了したが、メイ首相の演説は不発に終り、保守党議員からは辞任を求める声も少なくない。先の総選挙の責任を追求する声だ。
メイ首相は穏健なEU離脱を模索しており、ポンドにとってはプラス要因。しかし、ジョンソン外相をはじめ、抵抗勢力は強硬なEU離脱を主張している。今回の保守党大会で、穏健なEU離脱が鮮明になると期待していた向きには残念な結果となったようで、ポンド売りに繋がっている。
ポンドドルはきょうの下げで10日線と21日線のデットクロスを示現しており、一方、ポンド円は21日線をブレイクしている。明日以降の動きが注目されるが、ポンド円は本日安値の147.65水準をブレイクするようであれば、146円ちょうど付近までの下げも警戒される。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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