【NY市場】弱い米雇用統計もECBの観測報道でドル円は110円台維持

 きょうのNY為替市場は上下動はあったものの最終的にドル買いが優勢となった。この日の米雇用統計が予想を下回る内容となったことから朝方はドル売りが強まった。しかし、その直後にECBが「来年開始の資産購入ペース縮小計画を12月の理事会までまとめられない」との報道も出て、今度はユーロが急速に下落し、ドルが相対的に買い戻された格好。

 きょうの米雇用統計については景気の先行きに不透明感を与えるまでのネガティブな内容ではなかったが、年内の利上げ期待にはブレーキをかけている。非農業部門雇用者数(NFP)は15.6万人増と予想(18.0万人)を下回り、前回分も下方修正されていた。

 しかし、完全雇用に接近する中では十分な増加幅とも言え、堅調な米労働市場を裏付ける内容ではある。市場が注目していたのはむしろ、平均時給であろう。こちらは前年比で2.5%と予想を下回り、賃金は緩慢な伸びが続いていることが示されている。きのうのPECデフレータとあわせてインフレ指標はなお、年内の利上げ期待を高める内容とはなっていない。

 今月のFOMCでのバランスシート縮小開始期待には変化はないが、12月の利上げ期待はなお未知数だ。一部ハト派な向きからは、次回の利上げは来年6月との弱気な見方も出ている。

 ドル円は米雇用統計発表直後に一時109.55付近まで下落した。しかし、ECB関連の報道で反転し、110円台に戻す展開となった。その後に発表された8月のISM製造業景気指数が強い内容だったことから、110.45付近まで上昇する場面も見られている。

 前日のドル円は110.65付近で上値を抑えられていたが、きょうの米雇用統計からすれば、たまたまECBの報道があったことから110円台に戻したものの、上値には慎重ならざるを得ないであろう。ただ、109.80近辺に来ていた21日線はサポートされた格好となっており、リバウンド期待は残している。

 一方、ユーロドルは米雇用統計発表直後に1.1980付近まで上昇した。再び心理的節目の1.20に接近したことから計算されていたのかもしれないが、上記のECB関連の報道で一気に戻り売りが強まり、一時1.1850近辺まで下落。その後も本日の安値圏での推移が続いた。

 市場では、来週の理事会での資産購入ペース縮小までは打ち出さないにしても、10月の理事会では決定されると見込まれていた。それだけに今回の報道で警戒感を強めたようだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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