きょうのNY為替市場は全体的に様子見気分が強く狭い範囲での上下動に終始した。朝方発表になった5月の米生産者物価指数(PPI)で、コア指数が前年比2.1%と予想を上回ったことを受けドル買いも見られたものの直ぐに戻している。
株式市場では急落していたIT・ハイテク株に買い戻しも見られ、ダウ平均は最高値を更新していたものの、為替市場の反応は小幅に留まっている。
ドル円は110円ちょうど近辺での推移が続いた。PPI発表後に110.20近辺まで上昇したものの、戻り売りに押され110円を割り込む場面も見られた。ただ、下押す動きも見られていない。
全体的には明日のFOMCや消費者物価、小売売上高の発表といった重要イベント待ちの状況となっている。FOMCについては利上げは確実視されているものの、この先の利上げのペースとバランスシート縮小開始についてのヒントが出るか注目している。
きょうは米30年債入札があったが、前日の3年債、10年債は海外勢の需要が旺盛で好調な入札となったことから、きょうの30年債も需要が高まるのではとの観測も出ていたようだ。しかし、結果は応札倍率は前回を上回ったものの、無難な入札となり反応は限定的となっている。
一方、ユーロも狭い範囲での上下動を続けており、ユーロ・ドルは1.12ドルちょうど付近、ユーロ円も123円台前半での推移となっている。先日のECB理事会を通過してもなお、ユーロは底堅い動きを続けている。米インフレ鈍化への警戒感もあり、ドルの上値が重いなか、ユーロへのフローは続いているようだ。
先日の理事会でECBは出口戦略に向けて一歩舵を切ったものの、依然として慎重姿勢を維持している。きょうは理事会メンバーのスメッツ・ベルギー中銀総裁の発言が伝わっていたが、刺激策を後退させるためには耐久消費財のインフレが目標である2%付近に達するのを確認したいと述べていた。
ユーロ圏の景気にはポジティブな雰囲気が高まってきているが、労働市場や賃金の強さは無く、耐久消費財のインフレを支援する2つの要素が弱いままだとしている。
ポンドは買戻しが強まった。この日発表の英消費者物価指数が強い内容となったことがポンドの買戻しを誘発している。ポンド円は140円台を回復。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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