きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となった。朝方発表になった米雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)は予想ほどは増加しなかったものの、ネガティブは反応は見せずにドルは買戻しが強まっている。前回分が大幅に上方修正されたことや、平均賃金が前年比でプラス2.9%まで上昇していたことがサポートしたものと思われる。
NFP自体は15.6万人増とベンチマークとなっている20万人を下回ったものの、失業率が4.7%と、ほぼ完全雇用の状態を考慮すれば、妥当な水準ではあろう。
きょうの米雇用統計を受けて複数の米地区連銀総裁の発言が伝わっていたが、いずれも年内3回の利上げが適切との見方を示し、タカ派姿勢を強調していた。特にエバンス・シカゴ連銀総裁は財政政策が潜在成長を押し上げる可能性を指摘。これまでどちらかと言えばハト派色の強い総裁ではあった。年内3回の利上げについては「信じ難いとは言えない」と述べていた。
また、米株が堅調でダウ平均が2万ドル寸前まで上昇していたこともフォローとなったようだ。
ドル円は117円台を回復。116円台後半に来ている21日線を回復しており、前日の下げを相殺している。来週以降、120円を再び目指すか注目の展開となっている。
ユーロドルは1.05台前半に下落。ただ、1.05台は維持しており、対円や対ポンドではユーロは上昇するなど底堅さも見られている。ユーロ円は123円台を回復。
今週に入ってユーロの見方に若干変化が出てきているようだ。今年の政治的なイベントリスクから、今年のユーロに対して下を見ている向きが多いが、今週発表になったユーロ圏の消費者物価指数を受けてECBの早期出口戦略への期待が高まってきている。また、ECBの資産購入プログラムによる欧州債市場への弊害を指摘する向きも少なくない。
今週の消費者物価の上昇はあくまで、エネルギー価格の上昇に起因するところが大きいが、しばらく続くようであれば、ECBも出口戦略を検討せざるを得ないであろう。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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