【NY市場】ドル買いの動き健在 ドル円は111円台に戻す

 きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となった。トランプ相場にも一服感が出ているものの、根強い上値期待がある模様。米株式市場でダウ平均が最高値を更新し、1万9千ドル台に乗せるなど株式市場が堅調なことがドルの支えとなったようだ。

 ドル円は111円台を回復し、一時111.35付近まで上昇している。前日のNY市場の引け間際に福島沖で地震が発生しドル円は急速に売りが強まっていた。一時110円台前半まで下落していたが、きょうは100ポイント戻す展開となっている。

 地震の影響で保険会社が外債を売るのではとの見方がドル円を押し下げたとの見方も出ている。明日の東京市場が祝日のほか、明後日は感謝祭ウィークで市場参加者も少なってくる中、利益確定売りのタイミングとなってしまった感もあったようだ。

 ただ、下値では日本の機関投資家の買いも観測され、モデル系ファンドの買いなども出ていたようだ。上昇トレンドのサインが出ているのであろう、下がったところでは押し目買いを積極的に入れているのかもしれない。

 目先は5月末の高値111.45付近が上値抵抗として意識され、売りオーダーも並んでいる模様。

 ただ、過熱感を示すテクニカル指標であるRSIは依然として80付近で推移するなど過熱感はかなり強い。前日の地震のようにきっかけ次第ではスピード調整が出る可能性もあり警戒される。

 ユーロドルは一時1.05台に下落。1.05台に入ると買い戻しも見られるようだが、依然として上値は重い。

 12月4日のイタリアの憲法改正を問う国民投票への警戒感も強まっているようだ。レンツィ伊首相は憲法改正で議会改革を行おうとしているが、世論調査では反対派が賛成派を上回っており、米大統領選でその差が更に拡大している。レンツィ首相は憲法改正への支持を得られなければ首相を辞任するとしており、再びイタリアの政局は混乱が生じると見られている。

 今回の国民投票を機にユーロ離脱を訴える右翼政党や新興政党への支持が拡大するようであれば、イタリアがいずれユーロ離脱の道を選択する可能性も高まる。為替市場でも政治リスクからユーロの上値は重い。

 ポンドは軟調でポンドドルは一時1.23台に下落する場面も見られた。対ユーロ、円でも下落しており、ポンド円は一時137円台まで値を落としている。明日は、ハモンド英財務相が秋の予算方針を公表する予定で警戒感も出ている模様。

 きょうはデービスEU離脱担当相が初めて、離脱交渉のEU側責任者である欧州委員会のバルニエ首席交渉官とブリュッセルで会談した。バルニエ氏は通告なしに交渉はしないとしていることから、離脱交渉に関しては特に話は無かったとしている。

 一方、スコットランド行政府のラッセル離脱担当相も、ブリュッセルを訪れており、EU当局者に対し、欧州単一市場へのアクセスを維持する穏健な離脱を望むと述べていた。また、不可能ならスコットランド独立住民投票の再実施もあり得るとの考えを示した。

 ドイツのメルケル首相をはじめEU側は、移民を認めない以上、欧州単一市場へのアクセス維持は困難との姿勢を示しており、かなりハードルは高い。もしかすると、スコットランド独立の住民投票が再び実施される可能性もあり、来年はEUのみならず、英国にも政治リスクが高まる可能性も皆無ではなさそうだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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