きょうのNY為替市場は引続きドル高が優勢になっている。米株式市場の動きを見ると、トランプ氏の経済対策への期待はきょうは一服感も出ているようだが、この日発表になった米小売売上高が強い内容となったことがドルをサポートしているようだ。
10月の米小売売上高はドルロング勢には心強い内容であっただろう。全体の売上高は前月比+0.8%と予想を上回る増加だったほか、自動車・ガソリンを除いた売上高も+0.6%と強い数字となった。ただ、最も心強かったのがGDPの算出に使用される食品・ガソリン・建材・自動車ディーラーを除いた売上高が+0.8%だったことであろう。4月以来の高い増加となっており、第4四半期のGDPに向けて明るい材料とも言え、第4四半期のGDPが3%台に拡大する可能性を秘めている。
この日の米小売売上高で市場は12月FOMCでの利上げをほぼ確実視しており、CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは12月FOMCでの利上げ確率を90%まで高めている。12月FOMCの焦点は利上げの有無よりも、FOMCメンバーによる来年の金利見通しかもしれない。
9月時点での来年の金利見通しは2回の利上げがコンセンサスとなっていた。しかし、市場の現状から見ると、それが3回ないしは4回に増える可能性もありそうだ。
もっとも、トランプ氏の経済政策の実現性や、FRBが国内リスク以上に海外リスクに慎重になる可能性もあり、また、ドル高が続くようであれば、トランプ政権もFRBも歓迎するとは思われず、来年の米利上げ見通しに関して、現時点で強気になるには時期尚早ではある。
ドル円は109円台前半まで上昇した。強い追い風が吹いている状態だが、足元の過熱感はかなり高まっており、RSIは買われ過ぎの70を超えてきている。大きなトレンド変換の兆候とも言えなくもないが、さすがに110円にかけては現段階では慎重にならざるを得ないであろう。
ユーロドルは1.07台前半まで下落。前日は1.0710近辺まで下落し年初来安値に顔合わせしていたが、その水準は維持されている。ユーロドルはドルに左右される動きが続いているが、きょうのユーロ発の材料としては第3四半期のユーロ圏GDP速報値が挙げられよう。
前期比+0.3%と予想と一致する内容ではあったが、第2四半期と伸びは変わらずに緩やかな成長に留まっている。市場は12月のECB理事会での資産購入プログラムの期限延長を強く期待しているが、きょうのGDPはその期待を裏付ける内容とも言える。
目先は1.0710付近の年初来安値水準を完全にブレイクしてくるか注目だが、その水準をブレイクするようであれば、2015年12月の安値である1.05ちょうど付近の水準が視野に入る可能性はありそうだ。
ポンドも軟調な動きが続いていたが、後半には一時的に買い戻しが強まる場面が見られた。スカイニュースが英最高裁判事のコメントを引用し、EU離脱のプロセス開始には包括的な法律を整備する必要があり、それにより、EU離脱は2年遅れる可能性があると伝えた。ただ、ポンド買いは一時的な動きに留まっている。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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