取材:Roger Ver氏 「Bitcoin.comのマイニングプール、ローンチ間近」

現在β版でテスト段階にあるBitcoin.comのマイニングプールが、ローンチ間近だ。このマイニングプールは、現在の公式クライアントであるビットコイン・コア(Bitcoin Core)ではなくビットコイン・アンリミテッド(Bitcoin Unlimited)というクライアントソフトウエアを支持するマイニングプールだ。

 

ビットコインが今直面する最大の課題、「スケーリング問題」

 

ビットコインが今直面するもっとも大きな課題とは、現在のブロックサイズでは今後増え続けるトランザクション量に対応できなくなることが予想されるため(スケ―ラビリティ問題といわれる)、このスケ―ラビリティをいかに解決するかだ。

 

ビットコインコアと、ビットコイン・アンリミテッド

 

ビットコイン・コアは、この問題に対してオフチェーン(ブロックチェーン上ではない処理)によってスケールさせるというライトニングネットワークという解決策を試みようとしている。この前段階としてSegwitという対応策のリリースへ向けて動いている。ただしSegwitが実際に活用されるにはマイニングネットワーク全体の95%の合意が必要となるのだが、先日ViaBTCというマイニングプールがビットコイン・アンリミテッドへ移行したためビットコイン・コアの支持率は90%を割り、すぐにSegwitへ移行することは難しい状況となってしまっている。

 

こうした動きの中、アンリミテッド派としてローンチへ向けて動いているマイニングプール、Bitcoin.comのRoger Ver氏に、現状目指していることは何なのか、また今後の展望についてどう考えているのか、話をうかがってみた。

 

Q:Bitcoin.comのマイニングプールのローンチはいつでしょうか?

A:「今月中のローンチを予定していましたが、11月までずれ込むかもしれません。」

 

Q:マイニングプールを立ち上げる目的は?

A:「ビットコインを、サトシ・ナカモトのホワイトペーパーで元来想定されていた通りの目的で決済ネットワークとして、また貨幣としてもっとスケールさせることが目的です。ビットコイン・コアは、現在ブロックサイズを1MB以上に上げずにスケーリングの問題を解決しようと、ブロックチェーン上ではなくオフチェーンでスケールさせるライトニングネットワークという解決策を試みようとしています。しかし、ソフトウエアはまだ存在せず、オンチェーン(ブロックチェーン上)でのトランザクションに比べても多くの制限がかかってしまいます。ビットコインがオンチェーン上で少額決済を行うという用途に利用できるものではなくなってしまえば、もっと多額の資金のやりとりにも使われなくなってしまうというのが私達の考えです。」

 

Q:ビットコインのスケ―ラビリティについてはどのような意見でしょう?

A:「ビットコインは現在一秒間に2.5トランザクション、毎10分間に1MBのブロックスペースしか扱えません。これは非常に低い数字です。もしもブロックサイズが16MBまで上がれば(16MBはマイナーの中で『最適では』とされる声の多い数字です)、毎秒40トランザクションを処理できるようになります。ブロックサイズが大きくなれば、トランザクションの手数料も低くなり1ブロックで処理できるトランザクションも増えるのでビットコインはより便利になるというのが私達の見方です。現状ではビットコインはこれ以上ユーザーやビジネスが増えると対応できなくなる状態ですが、ビットコインのブロックサイズが上がって便利になり、ユーザーやビジネスが増加すれば、長期的にみてノード数も自然と増えることになるのではと思っています。」

 

Q:現在のBitcoin.comのハッシュレートは全体の2%以上を占めていますが、この数字はどう捉えていますか。

A:「現段階の数字にはとても満足しています。まだローンチしていない状態ながら、私達のプールを試してみてくれているマイナーのマイニング活動により、すでに世界のハッシュレートの2%以上という少なくない数を占めています。現在Bitcoin.comのβ版のマイニングプールに協力しているマイナー達は、『政治的なことに関わりたくはないが、ブロックチェーンサイズを大きくすること、オンチェーンでのスケーリングを望んでいるために協力している』というスタンスの人がほとんどです。」

 

Q:今、もっとも注力していることはなんですか?

A:「ビットコインを貨幣として、またペイメント・ネットワークとしてオンチェーンでスケールさせていくための安定したプールを作ろうと努力しているところです。」

 

Q:技術面やビジネス面で課題はありますか?

A:「中国のインターネット検閲(グレートファイヤーウォール)が今のところ一番の悩みどころです。そう遠くない将来に、ビットコインの利用が世界中で自由にインターネットにアクセスできるような環境を生み出す一助になることを期待しています。ただ、それはまだ2、3段階先の話だと思っていますが。今は、その第一段階としてビットコインという「検閲のないお金の形」(a non-censorable form of money)が世界に浸透するような取り組みを行っていくつもりです。」

 

Q:現状では、Segwitを阻止することはできたとしてもブロックサイズを引き上げるには至らないかと思いますが、その点はどう考えていますか?

A:「マイニングパワーを増やすことが重要と思っています。もしも私達が十分なマイニングパワーを持てば、ビットコイン・アンリミテッドに切り替えるノード数も増えていくと思っています。

 

もしもBitcoin.comのβテストに興味のあるマイナーの方がいたら、ぜひpool@bitcoin.comまでご連絡ください。」

 

 

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Source: Coin Portal

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