【NY市場】トランプ大統領の発言でドル円は108円台に下落

 きょうの為替市場は前日とは逆にドル売りが強まった。今週末にワイオミング州ジャクソンホールで行われるFRBのシンポジウムをにらみながらの展開で、それまでは特段のイベントもなく様子見気分も強い。その様な中でここ数日、日替わり相場が繰り広げられている。

 材料はまたしてもトランプ大統領の発言。メキシコ国境の壁建設の予算獲得のためなら、米国を政府機関閉鎖の瀬戸際に追い込むこともいとわない考えを示していた。更に北米自由貿易協定(NAFTA)をある時点で終わらせる可能性にも言及している。

 米債務上限の引き上げ問題に関しては、市場もリスクとして留意はしているものの、楽観的に見ている向きが多い。現在も変わらないものと思われるが、トランプ大統領に直接言われると、さすがに反応せざるを得ないようだ。

 今週はジャクソンホールに向けてドル買い戻しを見込んでいた向きも少なくなかったようだが、北朝鮮問題以降、トランプ大統領の"口撃"が、またしてもドルの上値を阻んでいる。市場の最大のリスクは北朝鮮でもそのほかでもなく、トランプ大統領の口かもしれない。

 米株や米国債利回りも下げる中、ドル円は108円台に下落。下値では本邦勢の買いオーダーも観測され、108円台を下押す動きまではなかったが上値は重い。108円台の下値サポートとしては、直近安値の108.60/65水準と、強いサポートと見られる108.50水準が意識される。

 一方、ユーロドルは買戻しが優勢で1.18台を回復。トランプ大統領の発言のほか、ロンドン時間に発表になったドイツやフランス、そしてユーロ圏のPMIが底堅い内容となったこともユーロの買い戻しを誘っている。PMIに関しては特に製造業が予想を上回ったことが心強かったであろう。一部では今年に入ってのユーロ高で輸出が圧迫され、製造業のセンチメントが落ちているのではとの見方も広がっていた。

 きょうのユーロ圏のPMIへの反応を見た限りでは、ユーロの上値へのモメンタムはまだ残っているようだ。きょうの上げでユーロドルは21日線を再び回復してきており、明日以降の動きが注目される。まずは1.18台を維持できるかどうか注目される。

 ポンドは下値模索が続いている。対ドルでも下落しており、ポンドドルは一時1.2780近辺まで下落した。英政府はEU司法裁判所との緊密な協力関係を受け入れ、過去と将来の同裁判所の決定がEU離脱後の英国にも及ぶことを認めた。

 EU離脱交渉の加速を狙い譲歩した格好だが、これもポンドを圧迫したとの指摘も出ている。利上げ期待も完全に後退しており、来週から再開されるEU離脱交渉への不透明感もあることからポンドの上値は重い。

 ポンド円は心理的節目の140円を割り込み、139円台半ばまで下落している。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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