きょうのNY為替市場はこの日の米経済指標を受けてドル売りが強まっている。朝方発表になった第2四半期のGDP速報値は前期比・年率換算で2.6%と予想(2.7%)よりも若干低めだった。第1四半期も下方修正されている。ただ、個人消費は2.8%増と前回から改善。
生産や消費も然ることながら市場が注目したのはインフレ系の数字だったのかもしれない。FRBが好んで参照するPCEデフレータは前期比+0.3%、食品・エネルギーを除いたコア指数では+0.9%となった。予想ほどではなかったものの第1四半期の2%付近から比べれば、インフレの鈍化傾向が鮮明に出ている。
また、同時刻に米労働省から第2四半期の雇用コスト指数が発表になっていたが、こちらも賃金の伸びが緩いことが示されていた。生産や消費は底堅いもののインフレが鈍化傾向を示す中、FRBは利上げを急ぐ必要はないとの見方を裏付ける内容ではある。
現在、9月FOMCでの利上げ期待は完全に後退しているが、12月の利上げ期待はまだ半々の確率で見ている。商品市場で原油相場が買い戻されているなか、今後インフレ鈍化傾向が落ち着くか注目される。
為替市場はドル売りで反応しドル円も一時110.55近辺まで下落した。110円台に入ると押し目買いも出るものの、111円台が次第に重くなっている雰囲気も見られる。今週の安値110.50水準が下値サポートとして意識されるが、この水準を割り込むようであれば心理的節目の110円割れも警戒される。
ユーロドルは堅調な動き。今週のユーロドルはFOMC声明を受けて1.1775近辺まで上昇していたが、その後は利益確定売りが強まり、1.16台半ばまで急速に下落していた。しかし、きょうの上昇でFOMC後の戻り高値を試しそうな気配も出ている。ただ、上値警戒感も強まるなか、1.18にかけての売り圧力は相当程度強そうだ。
きょうはドイツの7月の消費者物価(HICP)の速報値も発表になっていた。前年比で1.5%と予想を上回る内容ではあったものの、前回と伸びに変化はなかった。
一部からは今回のドイツのHICPの結果を受けて、来週発表になるユーロ圏の7月の消費者物価速報値もコンセンサスとなっている前回と変わらずの前年比1.3%が見込まれるという。インフレ上昇は緩やかであるというECBの見方を裏付ける内容になるとの指摘も聞かれる。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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