きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となり、ドル円は113.45近辺まで上昇した。この日発表になったISM製造業景気指数が予想を上回ったことで、ロング勢に安心感がもたらされたようだ。
この日発表になったISM製造業景気指数は57.8と予想を上回る内容となった。詳細を見ても、雇用をはじめ、新規受注や生産など全体的にセンチメントの改善が見られている。市場はFRBの正常化に向けたタカ派姿勢とインフレ鈍化懸念との間で踊り場にいるが、7月相場に入って早々に強い指標が出たことは安心感に繋がった模様。ただし、仕入価格は昨年11月以来の低水準となっており、インフレ鈍化懸念は払拭できない内容ではあった。
ドル円は年初から4月にかけての下降波のフィボナッチ50%戻しの水準が113.35/40近辺に来ている。きょうはその水準に到達しており、更に突破して行くか注目される。上記フィボナッチ61.8%戻しの水準は114.60近辺で、そこまではまだ遠いが、期待感は再び高まってきているようだ。明日は独立記念日でNY市場は祝日となるが、祝日明けもFOMC議事録や、金曜日の米雇用統計など重要イベントが目白押しだ。
一方、ユーロは利益確定が優勢となっており、ユーロドルは1.1360近辺に下落。先週はドラギECB総裁の発言を機にユーロ買いが加速し、1.14ドル台半ばまで上昇していた。その後、ECBから火消しに回る発言も流れていたようだが市場は無視し上値追いを続けていた。しかし、さすがに過熱感は否めず、きょうは利益確定売りが優勢となっている模様。
ECBは現状のユーロ高や欧州債利回りの上昇を許容しないのではとの見方も出ている。一部報道が関係筋の話として、7月20日の理事会で出口戦略へのバイアスを強めることにECB理事の一部から警戒感が出ていると伝えていた。先週のドラギ総裁の発言で、ユーロや欧州債利回りが急上昇していることに驚きを感じ、出口戦略のバイアス強化は景気回復を弱めるのではとの懸念が出ているという。
明日はプラートECB専務理事などECB理事の発言や木曜日にはECB議事録の発表も予定されている。慎重な発言があるようであれば、敏感に反応する可能性もありそうだ。
目先の下値サポートとしては1.1320近辺にフィボナッチ38.2%戻しの水準がきており意識される。
なおユーロ円は、ドル円の上昇がサポートし128円台後半に上昇。
ポンドも対ドルで軟調。ポンドドルは利益確定売りが強まり、一時1.29台前半まで下落している。市場の一部からは、英中銀が利上げを実施してもポンド高は短期的に留まり、次第に売りが優勢になるとの見方も出ている。
今後、EU離脱交渉が本格化して行くなか、既に減速している景気と政治リスクの環境下で、利上げは先行きへのリスクを高めるという。ポンド安のほうが貿易赤字や経常赤字を縮小させることから、英経済にとっては支援となるとの見方も示していた。
なお、ポンド円はドル円の上昇がサポートし146円台後半まで上昇。9日続伸となった。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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