【NY市場】ヘルスケア法案めぐりドル円は上値重い 採決は明日に延期

 きょうのNY為替市場でもドル円は売りが優勢となり上値の重い展開が続いている。市場の焦点は米下院でのヘルスケア法案の行方に関心が集まっており、為替相場もその動向に左右された。この日採決が予定されていたが、結局、明日に延期になった。

 与党共和党内で保守派の反対が根強く情勢が混沌としている。トランプ政権も調整に動いており、法案に反対の下院自由議員連盟に最終案を提示している。その提案には個人保険市場向けの補助を撤廃することが盛り込まれている模様。現状はその提案を保守派が検討している状況だ。

 この法案はトランプ大統領にとって最初の試金石で、これを無事通過させなければ、その後に控える税制改革や金融規制改革などへも影響するのではと市場は警戒している。

 なお、この日はイエレンFRB議長の講演があったが、金融政策に言及しなかったことでドル円は売りが強まる場面も見られた。

 ドル円は一時110.65近辺まで下落し、前日安値を更新した。しかし、米株や米国債利回りが堅調だったことから途中、111円台に急速に戻す場面も見られたが、結局、採決が明日に延期になったことが伝わると再び、110円台に下落する展開となった。

 一方、ユーロドルは1.07台後半でのもみ合いに終始。ここ数日、1.08台に上昇するものの上値が重いことから一旦1.07台に後退しているようだ。しかし、利益確定売りが強まる気配もなく、下値では押し目を拾う動きも断続的に出ている。
 
 きょうECBは最後の的を絞った長期リファインナンスオペ(TLTRO)を実施した。銀行からの需要が予想以上で利用額は2335億ユーロに達し、これまでの最高となった。ECBの利上げ期待が高まりつつある中、金利がゼロまたはそれ以下の4年物の資金は銀行にとっては魅力的で、474行が応札したようだ。逆に見れば、出口戦略に一歩踏み出しつつある光景とも取れる。

 今回のTLTROではイタリア銀の利用が活発だった模様で、最大手のウニクレディトは244億ユーロを借り入れた模様。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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