きょうのNY為替市場、序盤はドル売りが優勢になったものの、終盤になって下げを取り戻している。朝方発表された1月の米雇用統計を受けてドルは売りが優勢となった。
非農業部門雇用者数(NFP)はベンチマークである20万人を上回る22.7万人となった。完全雇用に接近している中ではかなり強い内容だったと言える。しかし、市場は違うところを見ているようで、平均時給が予想を下回り、失業率が上昇したことを嫌気している。失業率については労働参加率が上昇したことが要因となっており、ネガティブな雰囲気まではない。
はやり主因は平均時給であろう。市場ではFRBの利上げが想定されているが、年内の利上げが2回なのか3回なのかに注目している。それを見るうえで最大のポイントはインフレ期待の高まりであり、その点では雇用者数よりも賃金の動向を注視しているようだ。
しかし、終盤になってドルは急速に序盤の下げを取り戻した。ブルームバーグTVがウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁のインタビューを伝え、「3月FOMCで利上げの協議があるとし、3月利上げの論拠も一部あると見ている」と述べていた。この日発表の米雇用統計で市場は、早期利上げの可能性を後退させていた中、同総裁の発言は驚きとなったようだ。
ドル円は序盤に112円台前半まで下落したが、終盤になって一時113円台に戻す場面も見られた。ただ、トランプ政権のドル安志向が鮮明になりつつある中、ドル円は年初からの下向きの流れが続いている。目先は、このところ強いサポートとなってきた112円を割り込むかどうかが注目となる。この水準をブレイクするようであれば、心理的節目の110円を視野に入れることなりそうだ。100日線も控えている。
いずれにしろ、来週以降の展開次第だが、ポイントは10日の日米首脳会談であろう。米国からの要請で麻生財務相も参加するようで為替問題も取り上げられる見通し。公式な声明はこれまで通りの内容が予想されるが、会談に向けての要人発言など、首脳会談を取り巻く非公式に伝わるニュースにも注意したい。
ユーロドルは一時1.08手前まで上昇したものの、1.08台には嫌われている。ユーロドルはリバウンドの動きを続けているもののいずれ、下向きの流れに戻ると見ている向きは多い。前日は1.0825付近で押し戻されていたが、1.08台に入ると長めの資金の売りも観測されている模様。
このところ発表になっている指標が、成長の回復やインフレの兆候を示していることから一部では、ECBの出口戦略への期待も高まっているが、出口戦略に舵を切るとしても来年以降で、年内はそれを示唆するに留まるとの見方も出ていた。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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