クリスマス明けの取引となったきょうのNY為替市場は、動意薄の展開となり各通貨ペアともまちまちな動きとなった。今週末は年末年始で3連休となることから市場参加者も様子見といったところであろう。英国やカナダ、香港といった市場はまだクリスマス休暇中で市場参加者が少ないこともある。
今年のドルはインデックスベースで4.8%上昇している。特にトランプ氏の米大統領選勝利以降の上げ加速が前年比でプラスに押し上げた。FRBの利上げと来年のタカ派な見通しも大きかったであろう。一部からは年末にかけて銀行からのドル買い需要が指摘されている。ただ、全体的には薄商いで、トランプ政権からの発信待ちの状態ではある。
ドル円は117円台半ば付近の狭い範囲での振幅が続いた。この日発表になった米経済指標が強い内容となったことや、米株や米国債利回りも上昇したことから強含む動きも見られていたが、上値を試す気配はない。上値には依然として慎重なようだ。
米商品先物委員会(CFTC)が先週末に発表したIMM投機筋の12月20日時点の建玉報告で円の売り越しは7万5449枚まで拡大していた。円ショートは依然として拡大が続いているものの、全体で見るとドル・ロングは減少しており、年末にきてドル高への熱も一服している様子もうかがえる。
ドル円は120円を目指す展開は続いているものの、年内は微妙な情勢となってきている。
ユーロは買い優勢の展開でユーロドルは1.04台半ばで推移した。しかし、狭い範囲での値動きに終始しており方向感はない。市場では来年の欧州の政治イベントからユーロは下げが続くと見ている向きは依然として多く、ユーロドルはパリティ(1.00)割れも想定されている。ただ、ユーロ売りのリスクとしてECBの行動は意識される。
きょうもECB理事でもあるクノット・オランダ中銀総裁の発言が伝わっていたが、ECBの資産購入プログラムについて、ある時点で終了する必要があると述べていた。時期については明言を避けていたが、市場でも来年中にECBは、資産購入の拡大ペースを縮小させてくるとの見方も少なくない。
原油が50ドルより上で安定すればインフレが急速に上昇してくる可能性もある。政治的不安からユーロの下値を追うにしても、決して足元のファンダメンタルズが悪化している状況ではないことは意識しておく必要はありそうだ。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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